僕はキミの心臓になりたい



羽賀くんが手を振りながら去っていった後、


「瑞稀って本当優しいよね」


と、夏美ちゃんが羽賀くんの

後ろ姿を見つめながら言った。



「困ってる人をほっとけない性格だから

仲良い人だけじゃなく

クラスでちょっと浮いてる人とでも

分け隔てなく話してくれるよね」



「うん…本当にそうだね」



私も今までの羽賀くんを振り返ってみて共感し

首を縦に何度も振った。



すると、夏美ちゃんが空を見上げてしみじみと言った。



「私も瑞稀みたいにいろんな人と

フレンドリーに話せるようになりたいな〜」



「夏美ちゃんだって誰とでも仲良くできるじゃない。

クラスで浮いてた私にも

話しかけてくれたし、羽賀くんとも仲良いし…」



羽賀くんのこと名前で呼べる仲だもんね。


それが結構羨ましかった。



その時、突然呼吸ができなくなった。



口から息ができない。



あ……またやってきた。


こんなところで。




< 73 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop