僕はキミの心臓になりたい

「美羽はさぁ、今までどんな人を好きになったの？」


隣でたこ焼きを頬張りながら、羽賀くんは聞いてきた。


「とっ突然何その質問……」


「美羽が好きになる男はどんな奴か知りたいから」


「あまり男子と関わらないから

好きな気持ちとかよくわからない」


「でも初恋くらいはあるだろ？」



私はそこで言葉を詰まらせてしまった。


初恋と言っていいのかわからないけど

16年生きてきたんだから

私にもずっと胸に秘めたままの思い出がある。


その思い出をさらけ出すことにした。


「……私に似た人だった」


「似た人？」


「うん。

中学2年の時に転校してきた人で

教室の場所がわからなくて困ってたから

教室まで案内してあげたの。

でもその間、ずっと目が合わなくて。

話しかけても上の空だったから

周りの人には興味ないのかと思ったんだ。

そういうとこ、私に似てるなって

その時気になりだしたの」


自分にまつわるエピソードを披露すると

ガブリとたこ焼きにかぶりついた。