僕はキミの心臓になりたい



夜7時を回った頃。


最初の花火が夜空一面にぱっと開いた。


心臓に響く花火の音と

人々の歓声であたりはますます賑やかになった。


「綺麗……」


赤、黄、緑の色とりどりの花火が円になって輝き、枝垂れていった。


羽賀くんも花火を見上げて、歓声をあげている。


私は花火を見ながら

今日一日のことを振り返っていた。



今日は本当に来てよかったな。


楽しすぎて、時間が過ぎるのが

もったいないと感じる程だった。


こんなに時間が早く進んでるように感じるのは、久々だった。


羽賀くんといる時は、いつもそうだ。


私のやりたい事をやっているからかもしれないけど

彼が私に楽しい時間を与えてくれ

笑顔にしてくれてる気がした。


こんな時間がずっと続けばいいのに……


私のやりたい事が全部達成されたら

もうこんな風に羽賀くんと一緒に

過ごすことはなくなるのかな。


学校でもただのクラスメイトになるのかな。


この夏が終われば

私は羽賀くんと出会う前の自分に戻るのかな……



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