僕はキミの心臓になりたい
「美羽、苺食わねーの?
いらないなら、俺もらっちゃうけど」
「え?」
テーブルの上のお皿を見ると
最後の一つの苺が残っていた。
「ああ、食べていいよ」
「ラッキー!」
羽賀くんは嬉しそうにそう言うと
あっという間に苺を食べ終えてしまった。
その姿に、私の頬には自然と笑みが浮かんだ。
高校に入学してから、もうすぐ1ヶ月半。
私が知らない間に
世間ではもう初夏のにおいを漂わせている。
彼が着ている長袖のワイシャツを
肘あたりまで腕まくりしている光景が
夏を感じさせた。
「さて、苺も食べ終わったところで
今日の勉強するか」
通学カバンから、教科書やノートを取り出す羽賀くんの姿を見て
私は感謝の意を表さざるを得なかった。
「本当いつもありがとね」
「何が?」
「勉強教えに来てくれて」
羽賀くんが毎日来てくれてたのは
私に授業の内容を教えてくれるためだった。