僕はキミの心臓になりたい



夏休みも半ばに入り

甲子園の試合も終盤になった。



課題も全て終わってしまい

家で退屈な日々を過ごしていた。



こうなってくると、早く夏休みが

終わってほしいと思ってしまう。



羽賀くんはもう私の相手をするの疲れちゃったのかな…


私よりも一緒にいて楽しいと思える

相手がたくさんいるだろうし。



私なんかいなくたって、きっと彼には関係ないよ……



ヒュウヒュウと音が口から吐き出る。



呼吸が詰まったような感じがして

思わずしゃがみ込み、床に手をついた。



お母さんが私の様子に気づいて、駆け寄ってきた。



「美羽!?どうしたの?苦しいの?」


「ううん。ちょっと胸が苦しくなっただけ。大したことないよ」



胸をさすりながらそう言うと、お母さんが安堵の表情を浮かべた。



「本当に?ならいいんだけど、無理しちゃダメよ」


「うん。ありがとう」



お母さんが居間に戻ると、私は胸に手を当ててみた。


私は心臓の病気……


またいつ、この心臓の発作が起きるかわからない。


今まで、さっきのように

ちょっと苦しくなった時や

発作が起きた時にたくさんの人に迷惑をかけてしまった。



毎回発作が起きた時

お母さんが辛そうな表情で私の背中を

さすってくれるのを何度も見てきた。



この前も夏美ちゃんの前で発作が起きた時、心配をかけてしまった。



羽賀くんといる時にも症状が出たら

きっと迷惑をかけてしまう。


病気の私が、羽賀くんといる資格

なんてないんじゃないか……


羽賀くんにとって私は迷惑になるよ。



そうだよね。


だって幸せなんて言葉、私には似合わない。




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