僕はキミの心臓になりたい
色づく世界



次の日は一日中家でそわそわしていた。


暇を潰そうと、テレビを付けて

終盤になってきた甲子園を観たりしたが

意味もなくソファから立ち上がって

家中を歩き回っていた。



そしてまたソファに座って

テレビを観るという繰り返しで

甲子園の内容はほとんど頭に入ってこなかった。


けれども、明日を待っている時間

というものが楽しく感じられた。



明日、羽賀くんと会っていることを

想像するだけで笑みがこぼれてくる。



「あ、そうだ。手帳……」



明日の事を考えてる間に手帳の存在を

思い出し、階段を上がって自分の部屋に入った。



明日のやりたい事を書かなければいけない。



机の上に置いてあった手帳を広げ

書きたいことを頭の中でめぐらせた。

 
明日羽賀くんと会ったらどこへ行こう。


彼ならどこへ行こうと

文句言わずについて来てくれると思うが

行き先に迷った。



あんまり行きたいと思う場所が見つからないなぁ……


出かけることが極端に少なかったせいで

特別に行きたいという感情になることがないのだ。


しかも明日は昼間の10時に待ち合わせしてるから、

一日楽しめる場所を決めなければいけない。



それからの時間はやりたい事を考える時間に使い

考えをめぐりにめぐらせ、私はペンを取って手帳に書いた。



やりたい事を、自分の素直な気持ちを

スラスラと書いていく。



書き終えてから手帳を勢いよく閉じ

ベッドの中に潜り込んだ。



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