僕はキミの心臓になりたい
待ちわびていた羽賀くんとの約束の日。
余程楽しみにしていたのもあり
待ち合わせしている駅前には
約束している時間の30分前に着いてしまった。
当然まだ羽賀くんは来ておらず
ベンチに座りながら大人しく待つことにした。
9時50分になった頃
遠目からでもすぐにそれとわかる
羽賀くんが歩いてきた。
羽賀くんは私に気づいて
あの眩しい笑みを浮かべて手を挙げたので
私もベンチから立ちがって彼に手を振る。
半月ぶりの彼の姿を見て
溢れそうになる笑みを必死に抑えた。
「久しぶり」
「久々だな。美羽元気にしてた?」
「ぼちぼちかな」
「そっか!元気そうでよかったよ」
羽賀くんは普段と変わらないはずなのに
いつもよりかっこよく見えてしまうのは何故だろう。
長い間彼を見ることができず、下を向いていた。
「じゃあさっそく手帳見ーして♪」
ウキウキした羽賀くんから言われて
素直にカバンから手帳を出して彼に渡した。
なんだか今日は手帳を見られることに、緊張してしまう……
笑顔で手帳を開いて、目で読み始めた
彼の表情が徐々に真顔になっていく。
「え?これって……」
私は照れ隠しのように
羽賀くんから視線を外して何も言わずに立っていた。