[完] 空に希望を乗せて [長編]
第三章

青春のドア

ついに練習が始まった。授業が終わり「さようなら」をしてからすぐに急いで第二体育館に向かう。
「こんにちはー」
と挨拶すると
「こんにちは!」
とかえってくる。確か手島先輩だったはず。
「あっちで着替えてねー」
と手島先輩。
「はーい」
とちゃんと返事する。ててててて、がちゃ。
「あ!美結ちゃん!」
「やっほー!茉夏、ちゃん付けするんじゃないの」
美結が苦笑する。
「あ、ごめーんついついね…」
小学校の頃からずっと「呼び捨てでいーよ」と言われるまでちゃん付けで呼ぶようにしてて、しかもそれに慣れないという学生時代を送ってきた。美結、美結、ちゃん付けしない!頭に頑張ってインプットする。がちゃ、とまた音が鳴る。愛桜ちゃんだ。声の高い合唱部と兼部するって子。
「やっほー!よろしくねー」
「うん!よろしく〜」
「よろしくね!」

次々とメンバーが集まっていく。まだ今日は体操服。しっかり服装違反のないように着替える。上はちゃんと下にいれて…。
「美結着替え早くない?」
「そかな?よく言われるけどわかんないんだよね」
美結、天然っぽい。ホントホンワカしてる。
「じゃあ出よーよ。茉夏も着替え終わったみたいだし!」
うん、と頷いて、がちゃり、とドアを開けた。まるで青春のドアを開くような気分だった。
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