[完] 空に希望を乗せて [長編]
第六章

始まった終わり

「もうすぐ夏の大会です。これで負けると3年生は引退です。」
もうこんな時期なんだな、と星野先生の話を聞きつつ思う。去年の私の引退試合…。あぁ思い出しただけで気が重くなる。あーあ、もう先輩たち、いなくなっちゃうのかな。せっかく慣れてきたのにな。受験なんてバカみたい。中3のときも思ったけど、3年生ってだけで受験生って言われて、その前に一中学生なんですけど!っていいたくなった。中学生、高校生の間くらい部活ずっとしてたいよ。はぁ。なんて理不尽な世の中なんだろ。

「そのため、3年生に体育館をかなりの割合で使ってもらいたいから、1、2年生には、外に出てもらうことが増えると思います。3年生は、体育館が使えること、を当たり前だと思わないように。1、2年生の苦しさあって3年生のちゃんとした練習ができるんだから。1、2年生に感謝するんだよ。」
「はい!」
3年生の返事が揃う。高校生って感じだ。外での練習は焼けちゃうし、きついし、ちょっと辛いけど、基礎だって分かってるから、しっかり練習できる。先輩たちが引退するまで、頑張らなきゃ。
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