【医、命、遺、維、居】場所
「巧がどんな話したか分かんないけど、あんまり詳しく言ってないことは分かるからさ。」



「巧と話したところで、でしょ?杏梨のことでこれ以上巧に負担を」



「柚希。」






優しくもハッキリとした声。


この声には、聞き覚えがある。




遥を見れば声と同じ、優しくもハッキリとした眼差し。





「出てるよ、悪いクセ。そんなに頑張らなくても柚希はここにいていいんだから。」






私の頭を撫でる仕草は変わらない。






「もう子供じゃないんだけど。・・・分かってるよ。でも、そうでもしないと。遥がそばにいなくても、私はここにいていいって思う為には。」






施設に来たばかりの頃、私は施設だけど迷惑をかけないように、預けた叔母さんにも迷惑がかからないようにって、何かしら手伝いや面倒を見る為に動き回っていた。





何かしらの役目が欲しかった。

両親からは子供という役目さえ無かったから。





そして、世話をやく私の世話を遥がやいて。




私も遥も、必死だったんだと思う。
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