【医、命、遺、維、居】場所
「・・でも、勇ママと話して気持ちは落ち着いた。産婦人科医であり続けたいと改めて思ったよ。血が繋がっていなくても家族になれる。その家族が増える手伝いが出来る。両親がいなくなって感じた気が遠くなるほどの長い日々も、無情に積み重なっていった辛い記憶さえも、悲しい夢だったって今は笑い話に出来る。それは勇ママや柚希がいたから。家族がいたから、僕は神に復讐出来たんだ。」





「神に復讐?」






「悲しい出来事があったなら、それは神が撒いた悲しみの種が人生という轍に芽を出したから。って勇ママが格言みたいに言っていたでしょ。だけど僕はもう悲しくないから、幸せって思えるから、撒いた張本人の神に復讐したって感じかな。」





「幸せが復讐って変な感じ。真反対だし。でも、言いたいニュアンスはよく分かる。」







ファンタジックな考え方ではあるけれど。








「ほんと?よかった伝わって。僕は悩む前に首を突っ込んでしまうけど、巧は悩みに悩みまくった挙げ句踏み込まないからさ。更に柚希は悩ませたくないからか踏み込ませてくれない節がある。杏梨ちゃんのことは柚希と巧が一緒に悩むことだと思うんだよね。というか、僕のフォローにも限界あるし、そろそろなんとかして欲しいって思い始めたわけなんだ。」



「・・・遥。」
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