【医、命、遺、維、居】場所
「そちらも大変お忙しいところ、無理を聞いていただいてありがとうございます。」







にこやかに迎え入れてくれた約曲院長は今も現役バリバリの内科医で、机の上には読み込んでいたであろう医学書が積まれている。


矍鑠とした老練な医者・・・・に見えなくもないけれど、失礼ながら、田舎の元気なおじいちゃんにしか見えない。





「早速で悪いんですが傅雖先生」




「はい、盾釶院長から連絡は受けています。初産でしかも高齢の方と。様子を見せていただけますか?」




「ええ、助かります。君、頼むね。」






院長室に案内してくれた看護師が、更に産婦人科へ案内してくれるらしい。





槌鴨総合病院へは何本か電車を乗り継いだ道のりだったんだけど、妊婦の様子をみて欲しいと要請があったから荷物もそのまま直行してきた。





「じゃ後で。」




「ああ。」







巧はそのまま約曲院長と話をする予定になっているから、ここで一旦別れた。
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