甘い恋愛を、君と。
わたしがそう言うと、後輩は「マジで付き合ってないんだ…」とドン引きしていた。
後輩はその後考え込む素振りを見せたあと、おずおずとわたしに声をかけてきた。
「あの、先輩。実は、同期で相澤先輩のこと本気で好きな子いるんですよ。でも相澤先輩、全然振り向いてくれないみたいで。紹介して頂けませんか?」
「ごめん。申し訳ないけどそれは無理だ」
「え、なんでですか?相澤先輩と付き合ってないんですよね?」
「前にも、同期の子に同じこと言われたことがあって。相澤に断りなく紹介したらガチギレされたの」
相澤は容姿に恵まれている。顔は整っていてスタイルも良く、おまけに同期の中でも特に仕事ができる。
あまり笑わないので一見クールに見えるけど、コミュ力も高くて意外に喋りやすいし、一緒にいて楽しい。
そんな非の打ち所がない相澤がモテないわけがなく、現にわたしは同期や先輩問わず色んな人から「相澤が好きだから協力して」とせがまれてきた。
しかし当の相澤はそういうのに全く興味がなく、むしろそういうのは受け付けないということを身をもって学んだのだ。
「だからそういうのはできないんだ。お力になれずすみませんな…」
「それはしょうがないですね…」
「んじゃ仕事戻ろっか、早く終わらせて定時には帰りたいし」
「そっすね!」
そこで会話を終了させて、お互いの業務を再開した。