甘い恋愛を、君と。
「天野、起きろ!」
「え?!いった!」
突然相澤の大きな声が聞こえて、頭をコツンと叩かれて、突っ伏していた身体を起き上がらせた。
今度こそハッキリとした視界がひらけて、隣を見やるといつも通りの様子の相澤が、わたしのことを呆れ顔で見つめていた。
「もう夜遅い、帰るぞ。お会計は済ませといたから」
「え、あ、ありがと」
「大丈夫か?タクシー呼ぶか?」
「あ、や、歩いて帰れる、大丈夫」
結局、普段通り同じ電車に乗り、相澤は一足先に電車を降りて解散となった。
さきほどのキスは夢だったのかと思ったけれど、柔らかい唇と、優しく撫でられた右頬の感触が残っている。
わたしは結局その夜も、よく眠れないまま朝を迎えたのだった。