甘い恋愛を、君と。



「あ、あの、なんですか」
「ねえ、もしかして縁ちゃん?」
「そ、そうですけど、なんでわたしのこと知って、」


そう言った次の瞬間、わたしはその男の子に抱きしめられていた。


「はあ?!ちょっと!!な、なんですか?!」
「あんまり可愛くなってて気づかなかった」
「っはあ?え、誰ですかあなた。離してください!」
「俺だよ、零(レイ)だよ」
「…零?いや、わたしが知ってる零はもっと小さくてか弱い…」


零、というのは、近くに住んでいた5つ下の男の子だ。当時は女の子みたいに小さくて可愛くて、よくいじめられていた。

あの零がこんなに長身でイケメンなはずがないと思いつつも、よく見れば綺麗な顔には確かに当時の面影があった。


「ほんとに、零だ…」
「ずっと…会いたかった。縁ちゃん」


目に涙を浮かばせながら、わたしを見つめて、彼はそう言った。



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