甘い恋愛を、君と。
結局、零に家まで送ってもらうことになった。
怪我した私をおんぶすると言って聞かず、その圧に負けたわたしは、顔を真っ赤にしながら零におぶられることになった。恥ずかしすぎて情けなくて、顔から火が出そうだ。
「…ごめん。重くて」
「いや、縁ちゃん軽すぎだよ。ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ。ていうかずっと疑問だったんだけど、なんで零がここにいるの?わたしたちの実家と程遠いけど」
「俺、4月から大学生だから、このへんで一人暮らししてんだ」
「え、わたしもこの辺に住んでるよ。すごい偶然だね…あ、零。ここわたしのアパートだから、もう降ろして。送ってくれてありがとう」
「いえいえ。ところで縁ちゃん。きちんと消毒したいから、俺やっぱり縁ちゃんの家で手当てしたいんだけど」
「いや、何回言ってもそれはだめだって。学生は早く家帰りなさい。それに零は、幼なじみとはいえ男の子なんだから、家に上げるなんてできないよ」
「そんなの問題ないよ。これから、俺と付き合えばいいんだよ」
「は?」
お昼になったら昼ご飯を食べる、と言うときのように、当たり前のことを告げるトーンで、零はそう言った。けれどわたしは、その爆弾発言に絶句した。
なに言ってんだこの人。頭、大丈夫か?