君のいた時を愛して~ I Love You ~
プロローグ
ある日、仕事でくたびれた俺は、帰る途中の路上で座り込むサチを見つけた。
サチは全身あざだらけで、顔も腫れ上がるほど叩かれているのが目にもわかった。
夜勤明けのこの時間に道端に座り込んでいるというのは、一晩をここで明かしたということなのか、それとも夜中のうちに家を飛び出してきたのか、サチは身一つのようだった。
「行くとこあるのか?」
俺は、何も考えず問いかけた。
サチは言葉では答えず、ただ頭を横に振って見せた。
今にも雨が降り出しそうな雲行きに、俺は何も考えずに言った。
「俺の部屋くるか? すごく狭いけど、雨はしのげる」
サチは驚いたように俺を見上げると、すっと手を伸ばした。
俺が戸惑っていると、サチは縋るような目で俺のことを見つめた。
俺はサチの手を握ると、鳥の羽のように軽い、その体を引き寄せるようにして立ち上がらせた。
「おまえ、ちゃんと食ってんのか?」
俺の問いに答えず、サチは『サチ』とだけ言った。
それが、おれとサチの出会いだった。
サチは全身あざだらけで、顔も腫れ上がるほど叩かれているのが目にもわかった。
夜勤明けのこの時間に道端に座り込んでいるというのは、一晩をここで明かしたということなのか、それとも夜中のうちに家を飛び出してきたのか、サチは身一つのようだった。
「行くとこあるのか?」
俺は、何も考えず問いかけた。
サチは言葉では答えず、ただ頭を横に振って見せた。
今にも雨が降り出しそうな雲行きに、俺は何も考えずに言った。
「俺の部屋くるか? すごく狭いけど、雨はしのげる」
サチは驚いたように俺を見上げると、すっと手を伸ばした。
俺が戸惑っていると、サチは縋るような目で俺のことを見つめた。
俺はサチの手を握ると、鳥の羽のように軽い、その体を引き寄せるようにして立ち上がらせた。
「おまえ、ちゃんと食ってんのか?」
俺の問いに答えず、サチは『サチ』とだけ言った。
それが、おれとサチの出会いだった。
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