君のいた時を愛して~ I Love You ~
幸多がパソコン教室から姿を消したという知らせを受けた航は、想定していたこととはいえ、バカ息子にもほどがあると、すぐに幸多のボディーガードとして雇った男たちを幸多のアパートへと向かわせたが、そこは既にもぬけの殻だった。
航の調べによれば、幸多のアパートには、いかがわしいあばずれが転がり込んでいる。あまりに幸多が反抗的なので、一緒に暮らしてる女の素性がどれ程いかがわしく、幸多に相応しくない相手かを説明するのを憚っていたら、こうもあっさりとたぶらかされ、女につれだされるとは思ってもみなかった。
幸多にしても、もう少し素直にパソコン教室に通うかと思いきや、あっさりと父親のもとを離れて女のところに帰るとは、我が息子ながら、女癖が悪すぎると、航は自分の事を棚に上げて思った。当然、幸多に話してなどいないが、航は妻の他に若い愛人を三人ほど囲っている。それを考えれば、幸多が女と逃げたことぐらい、父親譲りの女癖の悪さと思うところだが、航は自分の行いを振り返るつもりもなかった。
既にアパートを出ていたという事は、幸多は航のもとに連れてこられてからも、どうにかして同居していた女と連絡を取っていたことになる。しかし、航の調べでは、幸多は携帯を持っていないし、調べさせたが昨日渡した会社の携帯を使った痕跡もなかった。
もともと、メールを送るのもやっとで、一日がかりで使い方を覚えた幸多が、航の会社のIT部門をごまかせるような特殊な技を持っていたとも思われない。
「どこに行ったんだ!」
航は苛立ちを隠せず、拳で机を殴りつけた。それから、航は顧問弁護士に電話をすると、すぐに幸多の戸籍を確認してもらうように依頼した。
アパートを二人で出た以上、考えられることは、女にそそのかされ籍を入れる事が考えられた。
航は時計を見つめながら、弁護士からの返事を待った。
役所が閉まるまでには、もう少し時間がある。しかし、あの手の女は手回しがいい。それを考えれば、幸多がアパートに戻り次第、近くの役所に婚姻届けを出すことぐらい、わけもないことだっただろう。
じりじりとしながら、航が連絡を待っていると、携帯が鳴った。
「渡瀬です」
航が出ると、電話は顧問弁護士からで、今現在、幸多の戸籍に変更が加えられた形跡はないとのことだった。
「急なお願いで、申し訳ありませんでした。このまま、幸多を私の正式な息子としての手続きをお願いいたします」
航は頼むと、電話を切った。
幸多には内緒で、既に幸多との親子関係は遺伝子鑑定も済んでいる。あとはすべて、顧問弁護士に任せておけばいいと、全ては計画通りにうまくいくと、航は自分を納得させようとした。
☆☆☆
航の調べによれば、幸多のアパートには、いかがわしいあばずれが転がり込んでいる。あまりに幸多が反抗的なので、一緒に暮らしてる女の素性がどれ程いかがわしく、幸多に相応しくない相手かを説明するのを憚っていたら、こうもあっさりとたぶらかされ、女につれだされるとは思ってもみなかった。
幸多にしても、もう少し素直にパソコン教室に通うかと思いきや、あっさりと父親のもとを離れて女のところに帰るとは、我が息子ながら、女癖が悪すぎると、航は自分の事を棚に上げて思った。当然、幸多に話してなどいないが、航は妻の他に若い愛人を三人ほど囲っている。それを考えれば、幸多が女と逃げたことぐらい、父親譲りの女癖の悪さと思うところだが、航は自分の行いを振り返るつもりもなかった。
既にアパートを出ていたという事は、幸多は航のもとに連れてこられてからも、どうにかして同居していた女と連絡を取っていたことになる。しかし、航の調べでは、幸多は携帯を持っていないし、調べさせたが昨日渡した会社の携帯を使った痕跡もなかった。
もともと、メールを送るのもやっとで、一日がかりで使い方を覚えた幸多が、航の会社のIT部門をごまかせるような特殊な技を持っていたとも思われない。
「どこに行ったんだ!」
航は苛立ちを隠せず、拳で机を殴りつけた。それから、航は顧問弁護士に電話をすると、すぐに幸多の戸籍を確認してもらうように依頼した。
アパートを二人で出た以上、考えられることは、女にそそのかされ籍を入れる事が考えられた。
航は時計を見つめながら、弁護士からの返事を待った。
役所が閉まるまでには、もう少し時間がある。しかし、あの手の女は手回しがいい。それを考えれば、幸多がアパートに戻り次第、近くの役所に婚姻届けを出すことぐらい、わけもないことだっただろう。
じりじりとしながら、航が連絡を待っていると、携帯が鳴った。
「渡瀬です」
航が出ると、電話は顧問弁護士からで、今現在、幸多の戸籍に変更が加えられた形跡はないとのことだった。
「急なお願いで、申し訳ありませんでした。このまま、幸多を私の正式な息子としての手続きをお願いいたします」
航は頼むと、電話を切った。
幸多には内緒で、既に幸多との親子関係は遺伝子鑑定も済んでいる。あとはすべて、顧問弁護士に任せておけばいいと、全ては計画通りにうまくいくと、航は自分を納得させようとした。
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