君のいた時を愛して~ I Love You ~
サチとは駅で待ち合わせにしていたので、休みだったコータは時間を見ながら駅へと向かった。
予定より早く着いたコータが待っていると、サチが息を切らせて走ってきた。
「走らなくていいよ!」
特に予約を取っているわけでもないので、コータは走ってくるサチに声をかけた。
しかし、サチはスピードを緩めず、一気にコータのところまで走ってきた。
「コータ、待たせてごめんね。ちゃんと、お昼食べた?」
息を切らせながら訊くサチに、コータは『食べたよ』と答えた。
サチは平日の仕事だが、コータは契約社員になった関係で週末にも仕事に入ることが多く、サチが仕事に出る日はコータが久しぶりに昼は自炊することになっている。
「そんなに心配しなくたって、ちゃんと昨夜の残り物で済ませたよ」
実際、自炊することはほとんどなく、前日のうちにサチが多めに夕飯のおかずを用意してくれるので、コータは自炊というよりも、温めなおすだけで食事ができるようになっていた。
「よかった」
そういうサチは、まだ息が切れたままだった。
「今日は、ウェディングドレス見に行くのに、そんなに今から疲れててどうするんだよ」
コータが茶化すように言うと、サチは笑って見せた。
「大丈夫。ドレスを見たら、絶対に予備電源が仕えるようになるから」
サチの言葉を聞きながら、二人はゆっくりと歩き始めた。
電車を乗り換え、目的のドレスショップに着くと、サチの言葉は真実で、少し疲れたように見えたサチの顔色が良くなり、あっという間にドレスのところに吸い寄せられていった。
売り込みにくる女性店員に、今日は見るだけなのでと説明し、サチはあれこれとドレスを見て回った。
実際に写真をとる会場に用意されているドレスを使うか、別のところからレンタルするかで費用も変わってくるのだが、いきなり限定されたデザインの中から選ぶのではなく、サチが本当に着たいと思うドレスがどのようなデザインなのかをコータは知りたくて、レンタルショップではなく、販売店を何点か先に回る予定にしていた。
しばらく見て回ったサチは、気に入ったドレスが見つかったらしく、何回も同じドレスのところに戻っては違うドレスを見るを繰り返していた。
「御試着されますか?」
店員の言葉に、サチは少し躊躇し、コータの様子を窺った。
「せっかくだから、着ておいでよ」
コータが言うと、サチはパッと花が開くような笑みを浮かべて試着室の方へと歩き出した。
大量のドレスと共に店の中に置きざれにされたコータを店の外から通行人が覗いて行く。一応、これは想定していたので、今日のコータは会社に行くときと同じスーツ姿で、サチもよそ行きのワンピースを着ていた。
しばらく待たされた後、店員に案内されて試着室に向かったコータは、ウェディングドレスに身を包んだサチの姿に言葉を無くして立ち尽くした。
「ご主人、見とれてらっしゃいますね」
店員の言葉に、サチが顔を赤くして何度もコータの名前を呼んだが、コータの耳には届いていなかった。
「サチ、すごく綺麗だ・・・・・・」
しばらくしてやっと口を開いたコータの言葉に、サチは更に顔を赤くした。
「御主人もお気に召されたようですね」
店員の満足げな言葉に、コータはやっと現実に引き戻された。このまま、『では、お会計』という展開になることは避ける担当はコータだった。
「確かに、素敵です。でも、実は、こちらが初めてのお店なので、もう少し見てから、一番気に入ったものにしたいので・・・・・・」
コータは言いながら、さりげなく店員が見せてくれた値札に『意外に安いんだな』という感想を持った。実際、もしコータが以前のような暮らしをしていたら、絶対に、『高い!』と絶句してしまう値段だったが、いまの安定した収入を得られるコータからしてみると、決して手の届かない金額ではなかった。
「そうですね、一生に一度のことですから、気に入ったものにされるのが良いと思います」
店員は慣れているのか、しつこい売り込みはしてこなかった。
「では、お着替えが済むまで、あちらでお待ちください」
店員に促され、コータは再びドレスの並んだ店内に戻り、サチが出てくるのを待った。
しばらくして、サチがワンピース姿で戻ってくると、一足遅れて店員が一枚の紙をもって姿を現した。
「こちらが、いま御試着いただいたドレスの型番になります。店頭には、一点しか置かないようにしておりますので、売れてしまうと一時的に在庫が無くなりますので、お求めになられる場合は、事前にお電話で在庫の確認をされてからの方が良いかと思います」
丁寧に教えてくれた店員に礼を言うと、サチとコータは次の店へと向かった。
何店回っても最初の店で見たドレス程サチが気に入ったドレスはなく、予定よりも早く販売店を回るが終わった二人は、休憩をはさんで写真を撮ってくれる会場へと足を向けた。
予定より早く着いたコータが待っていると、サチが息を切らせて走ってきた。
「走らなくていいよ!」
特に予約を取っているわけでもないので、コータは走ってくるサチに声をかけた。
しかし、サチはスピードを緩めず、一気にコータのところまで走ってきた。
「コータ、待たせてごめんね。ちゃんと、お昼食べた?」
息を切らせながら訊くサチに、コータは『食べたよ』と答えた。
サチは平日の仕事だが、コータは契約社員になった関係で週末にも仕事に入ることが多く、サチが仕事に出る日はコータが久しぶりに昼は自炊することになっている。
「そんなに心配しなくたって、ちゃんと昨夜の残り物で済ませたよ」
実際、自炊することはほとんどなく、前日のうちにサチが多めに夕飯のおかずを用意してくれるので、コータは自炊というよりも、温めなおすだけで食事ができるようになっていた。
「よかった」
そういうサチは、まだ息が切れたままだった。
「今日は、ウェディングドレス見に行くのに、そんなに今から疲れててどうするんだよ」
コータが茶化すように言うと、サチは笑って見せた。
「大丈夫。ドレスを見たら、絶対に予備電源が仕えるようになるから」
サチの言葉を聞きながら、二人はゆっくりと歩き始めた。
電車を乗り換え、目的のドレスショップに着くと、サチの言葉は真実で、少し疲れたように見えたサチの顔色が良くなり、あっという間にドレスのところに吸い寄せられていった。
売り込みにくる女性店員に、今日は見るだけなのでと説明し、サチはあれこれとドレスを見て回った。
実際に写真をとる会場に用意されているドレスを使うか、別のところからレンタルするかで費用も変わってくるのだが、いきなり限定されたデザインの中から選ぶのではなく、サチが本当に着たいと思うドレスがどのようなデザインなのかをコータは知りたくて、レンタルショップではなく、販売店を何点か先に回る予定にしていた。
しばらく見て回ったサチは、気に入ったドレスが見つかったらしく、何回も同じドレスのところに戻っては違うドレスを見るを繰り返していた。
「御試着されますか?」
店員の言葉に、サチは少し躊躇し、コータの様子を窺った。
「せっかくだから、着ておいでよ」
コータが言うと、サチはパッと花が開くような笑みを浮かべて試着室の方へと歩き出した。
大量のドレスと共に店の中に置きざれにされたコータを店の外から通行人が覗いて行く。一応、これは想定していたので、今日のコータは会社に行くときと同じスーツ姿で、サチもよそ行きのワンピースを着ていた。
しばらく待たされた後、店員に案内されて試着室に向かったコータは、ウェディングドレスに身を包んだサチの姿に言葉を無くして立ち尽くした。
「ご主人、見とれてらっしゃいますね」
店員の言葉に、サチが顔を赤くして何度もコータの名前を呼んだが、コータの耳には届いていなかった。
「サチ、すごく綺麗だ・・・・・・」
しばらくしてやっと口を開いたコータの言葉に、サチは更に顔を赤くした。
「御主人もお気に召されたようですね」
店員の満足げな言葉に、コータはやっと現実に引き戻された。このまま、『では、お会計』という展開になることは避ける担当はコータだった。
「確かに、素敵です。でも、実は、こちらが初めてのお店なので、もう少し見てから、一番気に入ったものにしたいので・・・・・・」
コータは言いながら、さりげなく店員が見せてくれた値札に『意外に安いんだな』という感想を持った。実際、もしコータが以前のような暮らしをしていたら、絶対に、『高い!』と絶句してしまう値段だったが、いまの安定した収入を得られるコータからしてみると、決して手の届かない金額ではなかった。
「そうですね、一生に一度のことですから、気に入ったものにされるのが良いと思います」
店員は慣れているのか、しつこい売り込みはしてこなかった。
「では、お着替えが済むまで、あちらでお待ちください」
店員に促され、コータは再びドレスの並んだ店内に戻り、サチが出てくるのを待った。
しばらくして、サチがワンピース姿で戻ってくると、一足遅れて店員が一枚の紙をもって姿を現した。
「こちらが、いま御試着いただいたドレスの型番になります。店頭には、一点しか置かないようにしておりますので、売れてしまうと一時的に在庫が無くなりますので、お求めになられる場合は、事前にお電話で在庫の確認をされてからの方が良いかと思います」
丁寧に教えてくれた店員に礼を言うと、サチとコータは次の店へと向かった。
何店回っても最初の店で見たドレス程サチが気に入ったドレスはなく、予定よりも早く販売店を回るが終わった二人は、休憩をはさんで写真を撮ってくれる会場へと足を向けた。