君のいた時を愛して~ I Love You ~
すぐにドレスを見せてくれるのかと思ったら、会場では料金プランの説明から始まり、写真を撮る枚数、チャペルセットにするか、神式にするか、両方にするかなどなど、色々な質問にコータは目が回りそうになった。
サチの意見を第一にすると、サチは最初のドレスがよほど気に入ったのか、チャペルセットでの写真をとるだけでいいと希望を説明し始めた。
それから、やっとレンタルドレスを見せてもらうことになったが、新品のドレスを見てきた二人の目には、着古されたドレスはどことなく古く、気のせいか純白ではなく汚れているような鈍い色に見えた。
「先ほど、参考でご覧いただいた写真は、こちらのドレスになります」
見本の写真に写っていたというドレスも、やはり鈍い白で、とても光り輝くような純白には見えなかった。
「このどれが、写真に撮ると、あんなにきれいに映るんですか?」
コータは口が滑ったと思い、慌てて口を閉じたが、店員はニッコリと笑みを浮かべて頷いた。
「はい。左様でございます」
コータには何となく信じられなくて、サチの顔を見ると、サチも少し複雑な表情を浮かべていた。
「じゃあ、資料も戴いたので、少し検討してみます」
「では、ご連絡をお待ちいたしております」
店員は笑顔で送り出してくれたが、サチの表情は複雑だった。
二か所目は、料金プランの説明の途中でトラブルが起きた。
『ご両親の出席した写真の方が記念になるし、家族と断絶している若い世代の勝手は良くないから、これを機会に歩み寄りましょう』という、二人の事情を知りもしないのに、自分の考えを前面に押し出してくる店員の言葉に、サチは顔面蒼白になり、コータは怒りで打ち震え、『もう結構です!』というコータの声が打ち合わせエリアに響き渡り、コータはサチの手を引いて会場を後にしようとした。
騒ぎを聞きつけたマネージャーらしき人が現れ、平謝りに謝るのも振り向かず、コータは『どいてください』というと、サチを連れて会場を後にした。
しばらく歩いたところにあるコーヒーショップに入ると、まだ蒼い顔をしているサチに、コータは暖かいココアを買って手渡した。
「ここ高いから、グランデで半分こずつでいい?」
事後承諾するコータに、サチはやっと笑みを見せた。
「もう、コータのバカ。いまさら何言ってるの。いつもそうじゃない」
「そりゃそうだけどさ、それがいつまでも当たり前にはしたくないって気持ちがあることはサチに知っててもらいたいからさ」
コータの言葉に、サチは泣きそうな顔をした。
「コータ、あたし、とっても幸せなんだよ。こんなに幸せでいいのかなって、時々不安になるくらい、そのうち、幸せすぎてバチが当たるんじゃないかって、不安になるくらい、幸せなんだよ」
サチの声は大きく、周りの人たちが思わずコータたちの方を意識してしまうくらい、店の中の会話する声が静かになって行った。
「バカだなあ、バチなんて当たらないよ。今まで、お互い苦労してきたんだから。それに、俺だって、こんなに幸せになれるなんて、考えたこともなかったくらい幸せだよ。サチは、俺にとって誰よりも大切な存在なんだから、ずっと笑顔で居て欲しい。でも、無理して笑ったりはしないで欲しい」
コータの言葉に、サチは泣き笑いの表情で何度も頷いて見せた。
「ココア、一口貰うよ」
コータは言うと、サチの手ごとココアの器を持ってココアに口をつけた。
深く傷ついたサチの心をコータは何とかして癒してあげたいと、自分と一緒にいることで本当に幸せになってほしいとコータは心の中で思ったが、それを口にすると、今度はサチが声を上げて泣き出しそうなので、それは口にしなかった。
ココアを飲んだ後、頑張って更に二か所ほど見て回った二人だったが、結局、どこもサチの気に入ったドレスを置いているところはなく、資料を貰うだけで二人は帰路に着いた。
サチの意見を第一にすると、サチは最初のドレスがよほど気に入ったのか、チャペルセットでの写真をとるだけでいいと希望を説明し始めた。
それから、やっとレンタルドレスを見せてもらうことになったが、新品のドレスを見てきた二人の目には、着古されたドレスはどことなく古く、気のせいか純白ではなく汚れているような鈍い色に見えた。
「先ほど、参考でご覧いただいた写真は、こちらのドレスになります」
見本の写真に写っていたというドレスも、やはり鈍い白で、とても光り輝くような純白には見えなかった。
「このどれが、写真に撮ると、あんなにきれいに映るんですか?」
コータは口が滑ったと思い、慌てて口を閉じたが、店員はニッコリと笑みを浮かべて頷いた。
「はい。左様でございます」
コータには何となく信じられなくて、サチの顔を見ると、サチも少し複雑な表情を浮かべていた。
「じゃあ、資料も戴いたので、少し検討してみます」
「では、ご連絡をお待ちいたしております」
店員は笑顔で送り出してくれたが、サチの表情は複雑だった。
二か所目は、料金プランの説明の途中でトラブルが起きた。
『ご両親の出席した写真の方が記念になるし、家族と断絶している若い世代の勝手は良くないから、これを機会に歩み寄りましょう』という、二人の事情を知りもしないのに、自分の考えを前面に押し出してくる店員の言葉に、サチは顔面蒼白になり、コータは怒りで打ち震え、『もう結構です!』というコータの声が打ち合わせエリアに響き渡り、コータはサチの手を引いて会場を後にしようとした。
騒ぎを聞きつけたマネージャーらしき人が現れ、平謝りに謝るのも振り向かず、コータは『どいてください』というと、サチを連れて会場を後にした。
しばらく歩いたところにあるコーヒーショップに入ると、まだ蒼い顔をしているサチに、コータは暖かいココアを買って手渡した。
「ここ高いから、グランデで半分こずつでいい?」
事後承諾するコータに、サチはやっと笑みを見せた。
「もう、コータのバカ。いまさら何言ってるの。いつもそうじゃない」
「そりゃそうだけどさ、それがいつまでも当たり前にはしたくないって気持ちがあることはサチに知っててもらいたいからさ」
コータの言葉に、サチは泣きそうな顔をした。
「コータ、あたし、とっても幸せなんだよ。こんなに幸せでいいのかなって、時々不安になるくらい、そのうち、幸せすぎてバチが当たるんじゃないかって、不安になるくらい、幸せなんだよ」
サチの声は大きく、周りの人たちが思わずコータたちの方を意識してしまうくらい、店の中の会話する声が静かになって行った。
「バカだなあ、バチなんて当たらないよ。今まで、お互い苦労してきたんだから。それに、俺だって、こんなに幸せになれるなんて、考えたこともなかったくらい幸せだよ。サチは、俺にとって誰よりも大切な存在なんだから、ずっと笑顔で居て欲しい。でも、無理して笑ったりはしないで欲しい」
コータの言葉に、サチは泣き笑いの表情で何度も頷いて見せた。
「ココア、一口貰うよ」
コータは言うと、サチの手ごとココアの器を持ってココアに口をつけた。
深く傷ついたサチの心をコータは何とかして癒してあげたいと、自分と一緒にいることで本当に幸せになってほしいとコータは心の中で思ったが、それを口にすると、今度はサチが声を上げて泣き出しそうなので、それは口にしなかった。
ココアを飲んだ後、頑張って更に二か所ほど見て回った二人だったが、結局、どこもサチの気に入ったドレスを置いているところはなく、資料を貰うだけで二人は帰路に着いた。