スケルトンドーム
後部座席の九重は銅が座るシートにしっかり捕まりながらズボンの左ポケットに躊躇なく手を入れスマホを取り出す。

「代わりに出てくれ」

「もしもしーこちら0班ですぅー」

『ですぅ〜じゃねーんだよ、遅っせーんだよ!さっさと出ろやァァ!』

あまりの爆音に眉間にシワを寄せた顔で思わずスマホを耳から遠ざける九重。

「誰からだ?」

「管理部長のハスっち」

「蓮見か」

九重は通話をスピーカーモードに切り替え、銅の隣へとスマホを近づける。

「なんか用か蓮見さん?」

『おう銅、お前らには別の仕事だ。アイツらが戦ってるEEのエンペラーホテルの付近に大量のアホなVIP共が湧いてるそうだ』

「避難してねーのかよ、バカが」

『つまりその連中に被害が出ないようにしろとの上からのご命令だ』

「有能連中の邪魔はすんなってことか?応援に急げっつったり野次馬の護衛につけっつったりよ」

『久々の出動だぞ、ありがたく思え』

「うるせーな」

『まぁそういう事だ、バカには口で言っても分かんねーから無理にでも止めるしかねーのよ』

「へいへい」
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