スケルトンドーム
「あー、生きてんのが奇跡だが、最悪だな。ハンドルがトラウマになりそうだ」
「うぅぅぅっ…ふぅ…スッキリした」
「香菜ちゃん結局吐いたのね」
「ちゃんと外に吐いたんで大丈夫です」
「いや、どっちだろうが車はもう廃棄だ」
「…とりあえず降りない?」
煙を吐き出す車から降りる銅班と新宮班。
5人は辺りを見渡すが巨大な刃を持つそれらしき影はどこにもいない。
どこかに破壊の跡でも残っていればと思ったが、追跡の手がかりは見つからない。
「あーあ、お前に忠告しようとしてたのによぉ、話を聞かねーからこうなるんだ」
「あぁ?てめーが意味不明な単語吐くから伝わんねーんだろうが、なんだよウエネルズって分かるわけねーだろ、見ての通り左腕はこの有り様だクソが」
「上にエルズっつったんだよ!それにほんの一瞬のうちに出てきやがったんだ、簡潔に情報与えただけでも感謝しろやクソ野郎!」
「やめろ二人とも見苦しいぞ」
「す、すみません班長!」
道路の真ん中で喧嘩を展開する銅と緋野、そんな2人を冷静に止めに入る新宮徹。
新宮班は、新宮徹を班長とする掃討隊第44班、Bクラスの階級に属する10チームの中の一つ。
その班長、新宮に怯えるような反応を見せる緋野。
無理もない、193cmの新宮徹は20cmも下の緋野から見るとただの巨人だ。
そんな新宮をナメた態度で銅は見上げる。
チェーンが垂れるオシャレメガネをかけた新宮の面長な顔に、感情を捨て去ったかのような冷たい目。
この男と対面するだけで気が滅入るという者も少なくない。
「とにかく今やるべきはエルズを探すことだ、どの班も追跡している気配がないということは今ソレを確認しているのは俺達だけの可能性が高い」
「班長感が優ちゃんとは大違い…」
「なんか言ったか凛子」
「いえいえ何もー」
睨み殺すような細い目で後ろを振り向く銅に満面の笑みで誤魔化す九重。
銅の3m背後に立つ凛子を新宮もまた睨みつける。
「優ちゃんか…上司と親しむのは結構だが言葉遣いや上下関係というものを学習してはどうだ」
「こりゃど〜も」
「…フン」
九重の軽い返事に呆れたように鼻で笑う新宮。
「それにその格好…大事な支給品のスーツだぞ、ズボンを片方切る意味はなんだ?」
「ファッションですぅ〜」
右側だけショートパンツを履いているかのようにそこから伸びる細い右脚を左脚の前に組み、立ったままアピールする。
しかし新宮は全く動じない。
「くだらん、胸元のボタンも閉めろ、水商売でも始める気か?」
「おっきいから仕方ないのぉ〜、それとも何?こういう女は嫌い?」
開いた胸元をさらに少し広げながら、新宮の目の前に歩み寄る。
しかし新宮は表情ひとつ変えず、むしろその面長い真顔から刺す鋭い視線が苛立ちを表現しているようにも見えた。
「下品、それだけだ」
「つまーんなーいの〜」
液体窒素に浸けたような冷たい目で一蹴され、新宮戦線から離脱した。
邪魔が消えると彼の視線はすぐ、ポケットに両手を入れ正面に立つ銅へと向けられた。
「うぅぅぅっ…ふぅ…スッキリした」
「香菜ちゃん結局吐いたのね」
「ちゃんと外に吐いたんで大丈夫です」
「いや、どっちだろうが車はもう廃棄だ」
「…とりあえず降りない?」
煙を吐き出す車から降りる銅班と新宮班。
5人は辺りを見渡すが巨大な刃を持つそれらしき影はどこにもいない。
どこかに破壊の跡でも残っていればと思ったが、追跡の手がかりは見つからない。
「あーあ、お前に忠告しようとしてたのによぉ、話を聞かねーからこうなるんだ」
「あぁ?てめーが意味不明な単語吐くから伝わんねーんだろうが、なんだよウエネルズって分かるわけねーだろ、見ての通り左腕はこの有り様だクソが」
「上にエルズっつったんだよ!それにほんの一瞬のうちに出てきやがったんだ、簡潔に情報与えただけでも感謝しろやクソ野郎!」
「やめろ二人とも見苦しいぞ」
「す、すみません班長!」
道路の真ん中で喧嘩を展開する銅と緋野、そんな2人を冷静に止めに入る新宮徹。
新宮班は、新宮徹を班長とする掃討隊第44班、Bクラスの階級に属する10チームの中の一つ。
その班長、新宮に怯えるような反応を見せる緋野。
無理もない、193cmの新宮徹は20cmも下の緋野から見るとただの巨人だ。
そんな新宮をナメた態度で銅は見上げる。
チェーンが垂れるオシャレメガネをかけた新宮の面長な顔に、感情を捨て去ったかのような冷たい目。
この男と対面するだけで気が滅入るという者も少なくない。
「とにかく今やるべきはエルズを探すことだ、どの班も追跡している気配がないということは今ソレを確認しているのは俺達だけの可能性が高い」
「班長感が優ちゃんとは大違い…」
「なんか言ったか凛子」
「いえいえ何もー」
睨み殺すような細い目で後ろを振り向く銅に満面の笑みで誤魔化す九重。
銅の3m背後に立つ凛子を新宮もまた睨みつける。
「優ちゃんか…上司と親しむのは結構だが言葉遣いや上下関係というものを学習してはどうだ」
「こりゃど〜も」
「…フン」
九重の軽い返事に呆れたように鼻で笑う新宮。
「それにその格好…大事な支給品のスーツだぞ、ズボンを片方切る意味はなんだ?」
「ファッションですぅ〜」
右側だけショートパンツを履いているかのようにそこから伸びる細い右脚を左脚の前に組み、立ったままアピールする。
しかし新宮は全く動じない。
「くだらん、胸元のボタンも閉めろ、水商売でも始める気か?」
「おっきいから仕方ないのぉ〜、それとも何?こういう女は嫌い?」
開いた胸元をさらに少し広げながら、新宮の目の前に歩み寄る。
しかし新宮は表情ひとつ変えず、むしろその面長い真顔から刺す鋭い視線が苛立ちを表現しているようにも見えた。
「下品、それだけだ」
「つまーんなーいの〜」
液体窒素に浸けたような冷たい目で一蹴され、新宮戦線から離脱した。
邪魔が消えると彼の視線はすぐ、ポケットに両手を入れ正面に立つ銅へと向けられた。