お嬢様、今夜も溺愛いたします。
今は夜ご飯の時間。
私がいるのは、最初このお屋敷に来た時に通された、おじいちゃんがいた部屋。
まぶしいほどに光を放つシャンデリア。
白いレースクロス。
座り心地が抜群にいい、ふっかふかのアンティークの椅子やテーブル。
いつもご飯を食べる時には、お誕生日席である端っこの席に座ってる。
常にそばにはメイドさんが2人に、シェフが1人必ずいるんだけど……
ご飯なら、みんなで一緒に食べませんか。
私だけだと、食べづらいので。
前からそう言ってるのに、使用人には使用人の食事がありますので、と聞き入れてもらえない。
でも今日は………
「すみません。
今日はもう、お腹いっぱいで……」
それすらも気にならないほど、私の頭はこの後のことでうめつくされていた。
「では、部屋までお送り致します」
今はとにかく、1人になりたい……
「ほんと、大丈夫ですので……」
黒木さんの目が見れなくて、それだけ言えば
「分かりました」
そう言って私が部屋を出るのを見届ける。
「お嬢様」
「は、はい……」
うまくドキマギして受け応えできない私に気づいてるのかは分からないけど……
「後ほど、お部屋にお伺い致しますね」
メイドやシェフがいる中、こそっと耳元でつぶやかれたその声は、まるで秘密と言ってるようで。
「っ……」
コクコクと頷くのでさえ、いっぱいいっぱいだった。