お嬢様、今夜も溺愛いたします。
──────────


「ど、どうしたらいいの……」


早足で戻るも、何をするわけでもなく、部屋中をウロウロとする。


夜に男女がふたりきりで。

思い浮かぶのはひとつで………


黒木さんが言ってるのは、あれだよね?


もう、アレしかないよね!?

アレしか………


数時間後には、黒木さんと私が、このベッドで………


ぎゃぁぁーーっ!!


ベッドにぼふんっと倒れ込んで、足をジタバタさせる。


どうしようどうしようっ!!

私、そういった経験ないんだけど!?


てか、黒木さんはこんなちんちくりんな私が相手でいいの!?


今から嫌です!!って、断る?

心の準備ができるまで、待ってて下さいって、言う?


言ったところで、聞き入れてくれるかは分からないけど……


でも優しい黒木さんのことだから、私が泣いて嫌がれば、きっと止めてくれるはず。


でもそういうのって、男の人からすればどうなんだろう……


元カレは、嫌がった途端、態度をコロッと変えて私を捨てた。


執事である以上、私がやめろと言わない限り……っていうか、おじいちゃんがクビにしない限り、離れていくことはないだろうけど……


うつ伏せになっていた体を起こして、胸にゆっくり手を当てる。



トクントクンと規則的な胸の音。


「嫌では、ないんだよね……」

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