お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「髪を乾かしますので、こちらに座っていただけますでしょうか」


まだいたんだ……


ランジェリーに着替えて、髪を拭きながら出てきてギョッとする。


てっきり追い出すような形になっちゃったし、戻っちゃったのかと思ってた。


ドライヤーを持って待機する黒木さんを黙って見つめていると


「お嬢様。早くしないと風邪を引いてしまいますので」


と、急かすようにポンポンと手を叩いた場所は。


「そ、そこに座れと?」

「はい。なにか不都合でも?」


「そういうわけでは……」


離れた距離からでも分かる。

そこは絶対おかしいって。


だって、ベッドに座る黒木さんの前のカーペット。

つまりは足の間に座れってことでしょ!?


そんな付き合ってるカップルがすること、恥ずかしすぎてむり!!

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