お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「なんて」
「へっ?」
次にされることが分かってぎゅっと目を閉じていたのに、降ってきたのはクスッと笑う声だけ。
「さあ、お嬢様。当然答えはお分かりいただけましたね?」
「なっ、なななっ!?」
カッと目を見開いてみれば、ただにやりとした笑みがあるのみで。
ま、またからかわれたーーっ!?
「っ〜!!」
ぶわっと熱くなる頬を隠したくても、両手がまとめられてるせいでそれは不可能。
目の前には、ん?と微笑む端正な顔があるだけで。
本当にやばいかもしれないと頭の中で警告が鳴り響く。
「界」
「えっ?」
「どうして界を下の名前で呼んでおられるのです?」