お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「んーなら、ブランドの時計とかは?ほら黒木、私服の時、腕時計つけてたじゃん」
「時計、か……」
黒とシルバーの見るからに男の人っぽいのつけてたっけ。
ブランドにしようが何にしようが、高校生の私じゃ買える範囲なんて限られてる。
それに、本人の好みもあるしなぁ。
うーんうーんと頭を悩ませる私に、紗姫はハッと目を見開いた。
今度こそ、ちゃんとした案が出てくるといいけど……
「クッキーは?」
「クッキー?」
「そう。今日の家庭科の授業、調理実習だろ?しかも作るものはクッキー。これならどうだ?」
「なるほど……」
これならお金は学校持ちだし、何よりも手づくり。
抹茶ケーキには到底及ばないけど、真心込めて作ったものならきっと喜んでくれるはず。
「ありがとう紗姫!!
私頑張るよ!」
お菓子作りは結構得意だし!
気合いを入れる私に紗姫は、
「ほんとに美都をプレゼントにしなくて良かったのか?」
なんて聞いてくるもんだから
「もしうまくできても紗姫には味見させてあげない」
って突っぱねたら血相を変えて謝ってきたから、思わず笑いを堪えきれなくて、嘘だよと返しておいた。