お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「そうそう。グラムを計る時は、必ず0に針を合わせて……」
「うわっ!めんどくさっ!」
「めんどくさくてもやるの!」
「ど、どうすんの美都!
なんか型取りがぐちゃってなった」
「大丈夫。落ちついて。
ゆっくりやれば平気だから」
とまあ、色々土壇場ではあったけれど……
「できたっ!!」
「うん!これなら絶対においしいはず!」
オーブンから取り出したクッキーは綺麗な焼き色がついていた。
真ん中をハート型や星型にくり抜きそこにジャムを流しこんだから、見た目もとってもキュート。
「やったあぁぁーーーっ!!
初めてうまくできたっ!!
美都、ありがとう!」
「ふふっ、どういたしまして」
ほっぺたに生地をつけたままでわーいわーいと喜ぶ紗姫。
途中放り出しそうになってたけれど、頑張って良かった。
界さん、喜んでくれるといいね。
死ぬほど嬉しいと飛び上がる紗姫に、私も思わず笑みがこぼれた。