お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「美都また明日な!」

「うん!私も日誌を出したら帰るから!」


あんなにダッシュで帰っていく紗姫、初めて見たなぁ。


教室へと戻ってきた後、とにかく早く帰りたいオーラが出ていた紗姫。


日直の仕事手伝おうかと言ってくれたけれど、丁重に断った。

きっと早く界さんに渡したいだろうし。


紗姫、頑張って。


心の中でエールを送り、後は日誌を出すだけだと教室を出る。


それにしても好きな人にクッキーか……


ちらりと教室を見れば、ドギマギしながらも、クッキーを男子に渡す女子があちこちにいる。


いつも派手で気高い雰囲気のお嬢様も、この時ばかりは普通の女の子と変わらない。


お嬢様たちなら同じクラスの男子なんて興味無いと思ってた。


芸能人と友達だったり、お金持ちの世界にいる以上、色んな男の人と出会うはず。


それでも好きな人は同じクラスにいる。


こうやって見ると、お金持ちの学校に見えないかも。


なんて思いつつ、職員室へと向かう足を速めた。
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