お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「お嬢様、もっと…気持ちよくしてください」
──────────


「まだ熱が下がってないそうです」

「そう、ですか……」


昨日の今日だもんね……


あの後帰ってきたはいいものの、玄関先でバターンと倒れた十夜さん。


季節はもう10月。


全身に冷たい水を被れば風邪を引いてもおかしくない。

すぐに着替えることもしなかったから。


「お嬢様、お食事はここに置いておきますのでお好きな時にお召し上がりくださいませ」


「ありがとうございます……」


時刻は土曜日の午前9時。

部屋に来たのは十夜さんではなく、メイドさんだった。


「あ、あの……」


一礼して出ていこうとするメイドさんを引き止めたはいいものの、言葉が出てこない。


こんなこと、メイドさんに聞いても良いんだろうか。
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