お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「ふふっ、いい子ですね」


すすすっとベッドの方へ歩み寄れば、腕をくんっと引っ張られて、ふっかふかのシーツに腰をつける。


「やっとそばにいらっしゃいましたね」


声を弾ませて、ぎゅうっと私を抱きしめた。


「ちょっ、十夜さん!!」


「ん、もうちょっとだけ……」


まるで子犬のように、スリスリと擦り寄ってくる。

熱のせいで身体は熱いし、雰囲気もどこかとろんとした感じ。


「はぁ……お嬢様が私の部屋に、しかもベッドにいるなんて信じられません。押し倒してもよろしいですか?」


「だっ、ダメに決まってるでしょう!!」


耳に吹きかけられた吐息はとっても熱くて、熱が伝染してきたみたい。


「なら、もう少しこのまま……」


私の肩に頭をのせ、ぎゅううっと抱きしめる力を強めた。


やれやれ……


「甘えたさん、ですか?」


広い背中をポンポンとなでる。


小さい頃、よくお母さんにしてもらったそれは、元気が出るおまじない。


「甘えちゃ、だめですか?」


ぐはっ!!

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