お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「はい。十夜さん」


なんとか……というより無理やり十夜さんを引き剥がし、お粥を作ってもらいに行った私。


戻ってきた時にはまた寂しかったと抱きしめるもんだから、そこは大人しくされるままでいた。


「食べさせて下さい」


「え?」


「ほらはやく」


はい、どうぞ!!


と、ベッドに腰掛けた十夜さんの前にお粥ののったお盆を置いた途端、駄々をこねるようにそう言われた。


やばいよ十夜さん。

どんどん子供化してる……


そんな姿にまできゅんとしている自分に頭を抱えつつも、れんげにのせたお粥をフーフーする。


「熱いので気をつけてくださいね。
はい、あーん……」


「あー……」


「大丈夫そうですか?」


「はい。お嬢様に食べさせてもらったおかげで、とってもおいしいです」


「そ、それは良かった……」


穢れのない澄んだ目が私を見つめ、恥ずかしくて思いっきり顔を逸らした。


お、落ちつけ私!!


さっきからふわふわ十夜さんに翻弄されまくり!!

大の男の人を可愛いって思ったの、生まれて初めてなんですけど!!


「お嬢様?次、早く食べたいです」


「あ、ああ、はいっ……」


ぬぉぉぉっーー!!

それから私はお粥が無くなるまで、ずっとアーンをしてあげたのだった。


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