お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「着替えましたよ」
「はい、ならもう寝てください!」
やっと寝てくれる。
ふうっとおでこを拭って、脱いだ服を持っていこうとしたら。
「お嬢様」
「なんですか……っておわっ!」
くんっと腕を引っ張られて、私はベッドへだいぶ。
「はー安心する……」
横になった十夜さんの隣で寝転んだ私を布団の中で抱きしめる。
「と、十夜さん!!
私は抱き枕じゃありませんよ!!」
ああっ、もう!!
私がドキドキしてどうする!!
「いいじゃないですか抱き枕。
お嬢様はどこもかしこも柔らかくて、いい匂い……」
「きゃーー!!
に、匂いを嗅がないで下さい!!」
スンスンと私の髪に頭を寄せる。
きっと熱で私と抱き枕を間違えてるに違いない。
「はぁ……お嬢様の手、冷たくて気持ちいいです」
片手をとられて、火照った頬へ擦り寄せる。
「お嬢様、もっと……気持ちよくしてください」
そう言うと、もっともっというように、私に身体を密着させて。
私と十夜さんの間はゼロ距離。
これ、かんっぜんに心臓の音バレてる気がする……
「添い寝して下さい」
「はっ?」
「なにもしませんから、ただそばにいて下さいませんか」
その破壊力のすごさと言ったら。
寂しい。お願い。
潤んだ瞳が訴えかけてきて、心にズドンと矢が刺さる。
「わ、分かりました。十夜さんが寝るまでここにいます。安心して下さい」
なんとか身体を離し、髪をポンポンとなでる。
「私が寝ても、そばに……ずっとそばにいて下さいね」
ドキッ─────
まるで、今だけじゃない。
いつかの未来まで言われてるような気がした。