お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「安心して下さい。
私はお嬢様しかありえませんし、お嬢様しか見えてませんから。というより、お嬢様以外の女なんて心底どうでもいい」
「っ〜!!」
恥ずかしさと嬉しさが混じりあってなんとも言えない感情に駆られていると、ふわっと身体を持ち上げられた。
「えっ、と、十夜さん!?」
「大丈夫。安心して身を預けてください」
そ、そうは言っても……!!
ここは外。
どこだか分からないけど、たくさんの人がいることは明白。
色んな人からの視線を感じる……
「お嬢様。はやく目を閉じないと、ここで深いキスを致しますよ」
「そ、それは無理ですっ!!」
ドキッとして慌てて、両手で顔を覆った。
「ふふっ、可愛いですね」
指に口づけが落とされ、そしてそのまま歩いていく。
「ま、まだですかっ?」
「もう少しです。隙間から覗いちゃいけませんよ?」
「わ、分かってます!」
そんなことしないってば……
むっとしていると、ほんのり優しい香りが鼻をくすぐった。
この、香り……
「さあお嬢様。目を開けて?」
ゆっくりゆっくり視界が開けて。
目に飛び込んできたその景色は。