お嬢様、今夜も溺愛いたします。
無理やり連れてこられたようなもんだし、ちょっとくらい慰めてくれたっていいのに。
「やっと分かってもらえました?
私基本、腹ん中真っ黒なんですよ」
にっこり笑うその周りの温度が一気に下がった気がする。
「お嬢様がこわいこわいと私に泣きそうな顔で抱きついてくるんですよ?こんなに幸せで、たまんないことってありませんよね」
絶句。
性格とか以前に、考えてることがこわすぎる。
「泣きそうな顔っていうと、色々想像しちゃいますよね。あんなことやこんなことをお嬢様にしたら、どんな反応してくれるのかとか」
「あ、あんなことやこんなことって?」
「ん?聞きたいですか?
だったら今夜、私の部屋に……」
「遠慮しときます」
赤くなるはずの私の顔はみるみるうちに真っ青に。
見た目や雰囲気が冷え冷えとしている分、時々この人の頭の中がとんでもないことで埋めつくされてるんじゃないかって思っちゃう。
「ふふっ、それにしてもいつも私から抱きつくことはあっても、お嬢様自らということはないので。本当に可愛らしいですね」
「こっ、これは不可抗力ですから……」
本当は、内心めちゃくちゃ恥ずかしいよ?
こんなベタベタくっついて。腕絡ませて。
でもそれ以上に、このお化け屋敷怖いんだもんーーーっ!!!