お嬢様、今夜も溺愛いたします。
──────────


それから連れてこられたのは観覧車。

今はちょうどお昼時。


そのせいもあってガラガラですぐに乗ることができた。


「っ、十夜さんっ……」


ゴンドラに乗って、席へと降ろされた瞬間。


「お嬢様……」


息もできないほど、ぎゅっと強く抱きしめられた。


「く、苦しいです……」


「だめです。お嬢様自らぎゅっとして欲しいとおっしゃったのですよ。まだちゃんと構ってません」


後頭部と腰に回された腕には力が籠るばかりで。


ぽんぽんとされた手は、恐怖で震えていた体を安心させるには十分すぎて。

心があったかくなって、しだいに気持ちも落ちついてきた。


「もう、平気です……十夜さん」


「本当に?」


「本当です。
私の目、見てください」


そっと体を離し、私をじっと見つめる。


「ありがとうございました……私が甘えられるきっかけを作るために、わざとお化け屋敷に入って下さったんですよね。性格悪いとか言っちゃってごめんなさい」
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