お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「恥ずかしがらなくていいのに」


「む、むりです……っ」


ちょっぴりムッとした声のあと。


「っ!?」

ジーッと背中のファスナーが開く音がする。


「これでもまだ、我慢できる?」


十夜さんに背を向けた状態で、慌てる私を壁の前に立たせる。


「なっ、なにを……」


「たぶんこのままだと場所関係なしに襲うだろうから、少しだけさわらせて」


「あっ……」


余裕のない声のあとで、するりとドレスの中に入れられた冷たい手。

身をよじって逃げようとしても、両手が十夜さんの手によって前の壁にひとまとめに固定される。


「逃げないで、そのまま俺に身を預けて」


「っ……」


後ろから覆い被さるように密着した体を、十夜さんの手がゆっくり時間をかけてなぞっていく。

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