お嬢様、今夜も溺愛いたします。


ドレスに着替えたあのお店で見た、長いまつげを伏せた十夜さんの色っぽい表情。


でも今はそのまぶたが完全に閉じられていて。


「……ふっ…ぁ」


唇に何度も何度も甘い熱が落とされた。


「とう、や……さっ」


名前を呼んで、離れようとしても。



「まだ。ぜんぜんたりない……」


腰をグッと引き寄せられて、後頭部の手に力がこもるばかり。


どうしてキスなんか……っ


角度を変えてしだいに深くなるキス。


なんで、どうして。


頭の中ではそんな言葉ばかりが浮かんでくるのに。


「お嬢様……」


唇が離れて、耳元で囁かれたとと思ったら、また塞がれるの繰り返し。


「……はっ…ぁ」


思考もままならないほど、とんでもない熱量をぶつけられる。


「目、閉じないで下さい」


「そ、そんなことっ、言われても……っ」


絡まる視線と熱に濡れた瞳が私をよりだめにする。


逃げるようにぎゅっとつぶっても、


「私から目を離さないで」



そう、言われてるみたいで。


ただキスが深まるだけ。
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