お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「今でさえやばいのに、とまんなくなる」


「はいこれ」

「わ〜!
こんなに高そうなもの、もらっていいの?」

「もちろん。
美都のために買ったんだし。
良かったら使ってよ」


「ありがとう紗姫!」


翌日のお昼休み。


昨日は渡せなかったからと、紗姫から誕生日プレゼントをもらっていた。


「リップグロス?」


「うん。
やっぱ女の子だし、そういうのがいいかと思って。そういうのよくわかんなくて界と一緒に選んだやつだけど」


「そんなの気にしないで?
昨日祝ってもらえるだけでも十分嬉しかったし」


「ならいいけど……」


照れくさそうに視線を逸らす紗姫。

わざわざ私のために、普段は使わないだろうものを買いに行ってくれたんだ。

その気持ちだけで私は幸せだ。


「すぐ使えるようにって、箱はこっちに入ってるから」

「はーい、ありがとう!」


早速つけてみようと、カチッと音がするまで先っぽを出す。


「うわぁ、めっちゃぷるぷるになる……」


塗ってみると保湿力があるのはもちろん、味がすることに気づいた。


「これ、ピーチ?」


「らしいよ。
なんか界が美都ちゃんには絶対これ!!ってめっちゃ推してきた」


「そうなんだ」

界さんの中で私はピーチのイメージなんだろうか……


ありがとう、大事にするね


再度お礼を言ってリップグロスをしまっていると。


「で、なに?話って」


興味津々とばかりに、ずいっと顔を近づけてきた紗姫。


「そ、そのことなんだけど……」
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