お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「それよりさ、俺もバイトしていい?」


「え、紗姫も?」


「ああ。
前に言っただろ?早く家出たいって。親の金には頼りたくないし、今からでもコツコツ貯めないとって思ってたところだし」


「なるほど」


「それに美都が育った家だろ?お店もお父さんのだって言ってたし。一度見てみたい」


「えーいいけど、めちゃくちゃ普通だよ?
紗姫の家より何倍も小さいよ」


すると苦笑いして頭をぽんぽんとされた。


「家の大きさなんて関係ない。俺が見たいのは、美都がお父さんの影響を受けた花だし。俺も華道の家柄だし、興味ある」


「そこまで言うなら……
じゃあ放課後一緒に行こっか。
あ、でも許可はとらなくていいの?」


「だれに?」


「界さんに。
反対とか、されない?」


「へいきへいき!
バイトするのは今回が初めてじゃないし、黒木ほど過保護じゃねーから」


「そう、なんだ?」


てっきりいくら男の子っぽくても、紗姫大好きオーラが出てる界さんならそうなると思ってた。


てか、他の執事もそういうもんじゃないの?


「黒木のは行き過ぎ。俺でも引くくらいだし。まあ、でも……」


「ん?」


「それを受け入れる美都は、よっぽど黒木のこと、気に入ってんだな」


「っ!!」


絶対私の気持ちに気づいてる紗姫。


きっと真っ赤になってるだろう顔のことを指摘してこなかっただけ、よしとしよう。
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