お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「話を聞く限りでは、お嬢様はこのリップグロスについてはなにも知らなかったようなので、外でつけてたことは見逃してさしあげます」
「はっ、はい」
「ですが……」
「え」
「他の男もお嬢様の魅惑的な唇を見たというのは気に入らないので、今存分に見せていただけますか」
「へっ?」
「つけて下さい」
「えっ、はっ、なにを?」
「このリップグロスをです。
もう完全にとれちゃったでしょうから、もう一度つけたところを見せてほしいです」
「っ……」
頬に手を当てられ、唇をグッと押される。
「先程も外でキスするのを我慢したんですし、ねぇ、いいでしょう?」
お願い。
強く訴えかけてくる目に、何も言えなくなる私。
いつからこんなに十夜さんに甘くなっちゃったんだろう。
「分かり、ました……」
渋々頷くと、やった!と言わんばかりに微笑む十夜さん。
その表情が可愛くて、またドキッと胸が高鳴った。