お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「お嬢様」
見透かされてる気がする。
「顔を、上げてください」
「いやです」
絶対はしたない顔してる。
自分でも分かるくらい熱い顔。
意識してるって丸わかり。
「見せて下さい。
お嬢様のとびきり可愛い表情を」
だから、ね?
ふわりとおでこに口づけられてしまえば、
「やっと私を見てくれましたね」
弾むような嬉しくてたまらないという声が私をよりドキドキさせる。
「お嬢様……キス、してもよろしいですか?」
ゆっくりじっくり。
私の反応を伺うように聞いてくるそれは。
耳がやけどするほどあまったるくて、頭に響く。
「いちいち聞かないでくださいっ……」
コツンと合わさったおでこに熱が集中する。
「この間みたいに急にしては、お嬢様も驚かれるでしょう?それに……」
ベッドのスプリングがギシッと音を立てて、私の横に重みがかかる。
「今全力でお嬢様を口説いているわけですから、私からされることすべてを覚えておいて欲しいのです」
「っ……」
なんつー、殺し文句。
甘すぎるその視線に頭がクラクラしてくる。
「私がどれだけお嬢様を好きか。
今から存分に教えてさしあげます」
するりと後頭部と腰に腕が巻き付き、グイッと引き寄せられる。
「お嬢様、キスのお時間です」
甘く、低く囁いた十夜さんは。
「好きですよ、お嬢様」
私にとびきりの熱を落とした。