お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「そんなに可愛いことしていいわけ?
今でさえやばいのに、とまんなくなる」
そう言って私にまた何度も角度を変えて熱を落とす。
「あー、前髪邪魔」
そう言って一旦上体を起こすと、前髪をかきあげた。
「ほんっとかわいい。
すべてがかわいい」
はぁはぁと息が乱れる私とは裏腹に、十夜さんはただゆらゆらと熱に濡れる目を向けてくるだけで。
「その潤んだ目。
理性ふっとぶ」
余裕のない表情が一瞬歪んで、
セーラー服の上に着ていたニットカーディガンのボタンがプチプチと外されていく。
「こんなに可愛い表情を見せるのはこの先一生俺だけ。あのリップグロスをつけるのも俺とふたりっきりの時だけ」
頭がぼーっとしてただ頷くしかできない。
熱い手が頭から耳、首へとすべって鎖骨へと降りていく。
「俺がほしくてたまんないって表情。
ほんっと煽るのが上手だね」
目が潤んでいるせいで、十夜さんがどんな顔をしてるのかは分からない。
でもただ一つ言えることは、その顔がなにかを必死に我慢しているということだけ。
重なっていた唇が離れ、おてごに頬に、耳に首に甘すぎる熱が落とされる。
「この先は美都が俺を好きだって言ってくれたらしてあげる。それまでは我慢、するから」
ふれられる手や唇からも、射抜くような瞳も。
そのすべてが私を愛おしいと叫んでいるようで。
もう、むり……っ
十分すぎるほどの十夜さんからの愛を受け止めるだけだった私の体は、とっくに限界を超えていた。
「早く俺のこと好きだって言えよ……」
意識が薄れていく中で聞こえたその言葉は、いつまでも頭の中にこびりついていた。