お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「十夜さん、十夜さん」
ゆらゆらと体を揺らすけれど、起きてくれない。
よほど疲れているのか、本当に寝入っているみたいで起きる気配が一向にない。
私のためにって、お店の店長さんまでしてくれてるんだもんね。
大学生でもあり、執事でもあり、尚且つ店長までしてるなんて。
きっと寝る暇もないほど疲れていたに違いない。
このまま寝かしておいてあげよう。
でも一応何時かだけは確認しておこうと、ベッドサイドにあったテーブルに視線をずらして、ハッとする。
じゅ、12時!?
「十夜さん!
十夜さん!」
やばい、遅刻っ!!
悪いとは思いつつも慌てて十夜さんの体を揺らす。
「ん、お嬢、様……?」
寝起きのせいか、十夜さんの声は一段と低く、掠れている。
まだ半開きの目もどこか色っぽくて、ドキドキして目が奪われそうになるのを必死に堪える。
「十夜さん!
今日、平日!火曜日ですよ!」
大学だってあるだろうしとポンポンと体を叩くと、ん〜と唸りながらもゆっくり体を起こした。