お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「一色も私と同じタイミングでこの皇家に来ました。私が一色をSPとしてスカウトしたのですが」


「えっ、じゃあ十夜さんと同じように一色さんも私が来る2日前に?」


「そうです。いとこというのもありますし、なによりあいつはとても信頼できるやつですから」


「信頼ですか?」


「はい。
きっとお嬢様は覚えてないとは思いますが、私と出会った小さい頃、一色ともお会いしているのですよ」


「えっ!
そうなんですか!?」


素っ頓狂な声を上げる私に十夜さんはクスクス笑う。


あ、だから……


「だから大きくなったとかなんとかって……」


「はい、その通りです」


にしても、一色さんまで覚えているのに、私にはどうしてさっぱり記憶がないんだろう?


「少しは昔のこと、思い出せました?」


「うーん……
なんか引っかかっていることはあるんですよね」


前に十夜さんが風邪を引いたあの時。


ベッドで寝ている姿を見て感じた違和感。


それと今回の話がつながるのだと思うのだけど……


前にお母さんに看てもらったことがあるって言ってたし、それとも関係が……


「あの、十夜さ────」


ふと思い立った一つの仮説を聞いてみようとした時。


「黒木さん」
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