お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「お嬢様はキスに弱いようでございますね」



「お嬢様」


スイッチが押され、徐々にカーテンが開いていく音。


「お嬢様」


見上げるほど高い窓から差し込む、9月の日差し。



そして、



「お嬢様。そろそろ起きられませんと、私に襲われるということになりますが、よろしいでしょうか?」



「よろしくないっ!!!」



朝っぱらから、クールな顔して爆弾発言を囁くこの男、私の専属執事、黒木さん。



ハッと目を開ければ、ドアップの端正な顔。



「もう少しでしたのに。残念です」



何が残念だって?


ふっかふかのベッドにギシッと重みがかかった途端、自分でも驚くくらい俊敏に起き上がる。



「朝から何言ってるんですかっ!!
てか、ベッドに入ってこないで下さいっ!!」



「何って……お嬢様がご想像されておられる通りでございますが?お嬢様は、寝起きもとびきり可愛いですね」


「何も想像してません!!
てか、早く出てって下さ……って、これは?」



添い寝するようにして布団に入ってきた黒木さんを押しのけベッドから降りた私は、すぐ傍のテーブルに置かれているものに釘付けになる。


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