お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「では、お嬢様。時間もあまりないことですし、お着替えのほど、お願い致します」
「分かりました」
「それと……お嬢様」
「はい?」
出ていこうとする足を止め、また傍へと戻ってくる。
「ここ、寝癖がついていらっしゃいます」
「え?」
どこだろ?
伸ばされた手は、ふわふわっと前髪を撫でて、そのまま耳にかかる髪へとすべっていく。
こうやって、人に頭を撫でられるのって久しぶり……
なんだか小さい頃のこと思い出すなぁ……
しかも段々眠くなって……
「こんな無防備な姿が見られるなんて、お嬢様を独占してるみたいでたまらないです」
「はい?」
なに?
なんだって?
なんか言ってるのは聞こえるけど、その気持ちよさに眠気がまた一気に襲ってくる。
「もう少しお嬢様を見ていたいところですが、これ以上傍にいると、理性がなくなりそうなので」
「は、はぁ……」
理性が、なんだって?
ああ、もうっ……
何も頭に入ってこない。
朝は幾分弱い私。
ああ、また瞼が閉じ………
「お嬢様。お眠いのでしたら、私が責任を持ってお手伝い……」
「結構ですっ!!!!」
その言葉にカッと目を見開いて、黒木さんを追い出し、バンッ!!と扉を閉める。
スルッとカーディガンが肩から落とされ、レースのキャミソールが見えた所で覚醒した私。
あ、危なかったぁぁぁ………