お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「到着でございます、お嬢様」


その声の直後、シートベルトが自動で外れ、横の扉が開いたかと思うと、スっと片手を差し出される。


「お気をつけてお降り下さいませ」



掴まれ、ということ?


別に、そこまでしてくれなくても……


なんて言えばまた色々言われそうなので、黙っておく。


にしても……


なんか外、騒がしくない?


女の子のキャーキャー叫ぶ声がめちゃくちゃ聞こえるんですけど。


チラリと見る限り、他にもリムジンが周りにたくさん止まってるのに、なせか、ここだけ異様にうるさ……いや、騒がしい気が……



なんて思いつつ手を取り、降りれば、



「な、なにこの女子の数っ……!?」



見渡す限り、女子、女子、女子。


みんなこっちを見てキャーキャー叫びまくってる。



「え?
ここ、女子校ですか?」


「いえ、共学でございます」


なら、男子は一体どこに?


なんて思っていると、腰にグッと腕が回された。



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