お嬢様、今夜も溺愛いたします。

看護師という忙しいお母さんが、唯一休みが取れたお盆のある日。


「久しぶりに、どこか遠くにでも出かけるか!!」


「うん!!」


お父さんの提案で、ドライブをしつつ、3駅離れた、大きいショッピングモールに行くことにした。


「楽しみだなぁ〜
友達とも行ったことないし」


「あら、そうなの?
ショッピングとか久しぶりだし、お母さん、たくさん服買っちゃおうかしら?」


「じゃあ、お父さんは荷物持ちってことで!」


「はいはい」


3人で、着いたら何を食べようか。

どのお店に行こうか。


ワクワクしながら、計画を立てていたその時だった。



キキっ─────!!!


「きゃあっ!!!」


大きな何かがぶつかって来た衝撃と、その反動でガンッ!!とどこかに頭を打ちつけた。


「お父さん……?
お母さん……?」


頭から血がタラりと流れて、視界がぐにゃりと歪む中、2人を呼んだけれど。


「お、とう……さんっ…
おかあ、さ、ん……っ」



2人は固く目を閉じ項垂れたまま、私の声に反応することは二度となかった。


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