お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「別れよう」
「えっ……?」
「大事な話があるから放課後残っていて」と彼に言われて。
両親が亡くなり、ずっと泣いていた私のそばで
「大丈夫だよ。
俺がいるから」
そう言ってくれていたのに。
彼だけが、生きる希望の光だったのに。
「どう、して……?
私、なにかしちゃった……?」
言っている意味が分からず、ぼやける視界の中で、なんとか頭を整理しようとしたけれど。
「お前、つまんないんだよな」
「は……?」
吐き捨てるかのように言った彼に、もう優しいなんて言葉は見当たらなくて。
「顔がタイプだったから付き合ったけど、付き合って何ヶ月も経ってんのに、キス以上のことさせてくれないし」
だって、それは……っ
もう少し待ってって言ってるのに、無理やりしようとしてくるから……
ただ冷たい視線を向けてくる彼に、私は唖然とするしかなく。
「俺のことを満足させてくれる女なんか、お前以外に何人もいるし。それにお前、可愛げがねーんだよ」
そう言って立ち尽くす私の横を通り過ぎると、そのまま去っていった。